逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



「あんま覚えてない」



そう俺が言うと、くぼっちは俺の頬をツンツン人差し指でつつく。



「これだからもぉ……モテる男って嫌よねぇ!バレンタインデーを余裕で過ごせるのはモテる男だけ!」



またオネェ口調……。



「いいじゃん、くぼっちは。それ、彼女からチョコもらったんだろ?」



「ふふっ。うん。もらった。本命チョコ!義理チョコじゃないよ?本命チョコ!」



「よかったね、おめでと」



「なにその棒読み」



「いやいや。うらやましいなって思って」



「なんだよ。橘は今年もどーせ数え切れないくらいチョコもらうんだからさぁ。うらやましがるなよ」



だって……うらやましいよ。



想い合えるって、本当に奇跡だよな。



好きな人が、自分を好きって……。



「くぼっち……」



「ん?」



「彼女のこと大事にしろよな」



そう俺が言うと、くぼっちは微笑んだ。



「あぁ……言われなくても、ちゃんと大事にしてる」