1コは、自分の分。
もう1コは、橘くんに……。
おそろいのキーホルダーとか。
「ふふっ」
つい、ニヤけてしまう。
あたしは周りをキョロキョロと見回した。
ニヤけたところ、誰にも見られてないよね?
でも……橘くんに渡すチャンスなんてあるかな?
それともキーホルダーなんて男の子は欲しくないかな?
ていうか、そもそも。
あたしから、こんなものをもらっても橘くんを困らせるだけ?
橘くん優しい人だから、いらないとかは言わなそうだけど……でも困らせたくないし……。
「咲下さーん!そろそろ次の場所に行かないとー!時間ヤバいーっ」
同じ班の子が向こうで呼んでる。
「ごめん、いま行くねっ」
結局、勇気のないあたしは、1コだけ。
自分用に青色の星砂のキーホルダーを買ってお店を出た。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)