逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


お母さんはあたしの腕を掴んだまま離さない。



「お母さん……?いつも飲んでる薬、ちゃんと飲んだ?」



お母さんは、手をゆっくりと離した。



「ごめんね、凜……」



お母さんは寂しげな顔で言った。



「お母さん……寝るわね……」



お母さんはあたしの頭を撫でたあと、布団の上に横になってしまった。



「ゆっくり休んでね、お母さん」



あたしはお母さんの体に布団をかけて、部屋を出る。



――パタン。



大丈夫かな……お母さん。



お母さんは、病院の精神科で毎月、薬をもらっている。



離婚してからずっと、もう何年も薬を飲み続けている。



お母さんに病名は聞いても教えてくれないけど、精神的な病気には間違いない。



それでもあたしを育てるため、薬を飲みながらも一生懸命に働いてくれている。



本当は優しくて、笑顔が可愛らしいお母さんだけど、



たまにこうして、いつものお母さんと違う様子になることがある。



お母さんがこんなふうに病気になったのは、父親のせいだ。



お母さんのつらそうな姿を見るたびに、父親のことが憎くてたまらなくなる。