その手紙は、咲下からの手紙だった――。
“橘くんへ。
ちゃんと自分の口からお別れを言えなくて、ごめんなさい。
本当はもっと早く、何度も言おうとしたけど、
なかなか話すことが出来なかったの。
最後までこの街から、離れたくなかったんだと思います。
あたしは父親と一緒に暮らすことになりました。
死んだお母さんの気持ちを考えると、
父親とまた一緒に暮らすなんて考えたくもなかったけど、
あたしはひとりで生きていけるわけもなく、
黙って大人に従うことしか出来ませんでした。
橘くん……。
つらいとき、助けてくれてありがとう。
橘くんがいなかったら、あたしは二度と、
笑うことも、素直に泣くことも出来なかった。
いつも一緒にいてくれて、優しくしてくれてありがとう。
これが最後だと思うから、言わせてください。
橘くんには、元気で笑っていて欲しい。
絶対、絶対……幸せになってください。
さよなら……。 咲下 凜”



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)