田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~

幸枝は番頭さんと二人京の間で一本一本丁寧に花を生けていく

そこへ二人の若い男がずかずか入ってきた

「なんや?こん百合は、もっとよか百合はなかったとか!花屋がこがん花ば出してよかとや!」

「申し訳ありません…せめて一本一本綺麗に生けさせてもらいますので」

「こがんみすぼらしか百合で親分の誕生日にけちばつけるとや!」

「申し訳ありません…時期はずれなのでこれが精一杯なのです」

「言い訳はいらん!」

頭を下げる幸枝達に男は百合を掴んで投げつける

「なにするんですか!今よりも汚い花にする気ですか!」

幸枝はそう言うと花を拾いあげる

「やかましか!こがんもんなかほうがましじゃ」

いつもの幸枝であるのはここまでである…