実家の玄関にはおとやんが気の抜けた風に座り込んでいた

「おとやん?大丈夫ね?どげんしたとね」

「おかやんが帰ってこん…貝取りにいったまんま帰ってきやせん」

「はっ?」

「波に飲まれてしもうた…もう三日前たい…舟ば出して探しよるばってん上がってこん」

皆頭ではもうダメだとわかっていたがあきらめきれなかった

シイエの頭にはなぜかはるや旦那様の姿が浮かんだ

体が戻らない事があってたまるか