シイエはしばらくして炊き出しの芋を少し抱えて帰ってきた

初義はあまり口を開けられない

シイエはやわらかくふかした芋を小さくちぎって初義の口元へ運んだ

「ほら!はっちゃん食べてごらん」

初義は口を少しあけ二口だけ食べた

「もうよかとね?」

「うん…あとで食べるけん」

シイエは残りの芋を初義の手に握らせて手を離した

そのやりとりが初義の最後の言葉となった

小さな芋をにぎりしめたまま初義はそのまま動かなくなった