田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~

初五郎は初義の姿を見て胸を詰まらせた

込み上げてくる涙を痛む喉元で飲み込みシイエに小声でつぶやく

「もうだめなのか?」

シイエはだまって首を振るだけだ

「はっちゃん、おとうちゃん帰ってきたけんね!会いたかったもんね、はっちゃん…ほら!あんたも声ばかけて」

シイエに促され初五郎は声を絞り出す

「とうちゃん帰ってきたぞ!初…元気ばだせ!とうちゃんが助けてやるけんな」

「おとうちゃん…おかえり…」

初義のか細い声が聞こえた