「立石くんはずっと見学かね?」 「そーです」 扇子をパタパタと仰ぎながら、さっきから話し掛けてくる校長先生。 「そうか、残念だね」 「いいんですよ。見学も楽しいですし」 そう言ってニヒヒって笑う。 「空良が…友達が俺の代わりに100m走に出てくれるんで、自分が走ってると思って全力で応援します」 そう言うと校長は「そうか…」と優しい表情を浮かべた。 いつもは咲希が写真を撮ってくれてるが、今日は俺が写真を撮っている。 咲希や空良の勇姿を納めなあかん。