偽者お姫様




「どうして、兄が……」

小さなその声は、リオルに届くことなく消えた。

「リオル、僕が、その魔法使いに頼み、その魔法を解くようにしてみせるから」

だからもう少し、我慢しておくれ、と振り向いた彼は言う。

「……私を、殺さないんですか?」

その言葉に、ウィズは驚く。

「殺すわけないじゃないか。どうして、そんなことを?」

出来上がったミルクティーを彼女の前に置く。

「彼女に……シンデレラ様に、ひどいことを言ってしまい、そしてウィズさんの気分を害してしまいました」

「殺すなんて、僕は決してしない。確かに怒ってしまったけれど、そんなことで殺すなんて、有り得ない」

そっと彼女の頬に触れる。

「ごめんよ、打ってしまって。けれどシンデレラも奴隷というせいで過去にいろいろあったんだ。だから……」

悲しそうな瞳で、リオルを見つめる。

「ウィズさんが謝ることはありません。私が全て、悪いんです」

すみませんでした、と続けていった。