偽者お姫様




「奴隷からも解放されて、自由に――」

「自由なんて、手に入らないのよ!」

シンデレラの声を遮って、リオルは叫ぶ。


「誰にもこの烙印は消せない! 魔法を使っても、消せないようにされているの!」


( すまない )

そう、あの魔法使いがこの烙印にかけられた魔法を解かない限り、誰にも、消すことはできない。

今の主と同じ、紅い瞳に漆黒の髪である、あの魔法使いにしか――。


「私たち奴隷に自由が手に入るなんてありえない。ただ主の命令に従いながら生き続ける運命(さだめ)なのよ!」


「でも……」

うろたえるシンデレラに、まだ何か言おうとする彼女に、リオルはさらに苛立ちを覚える。

「助けられることなんてない! 助けられるどころか、殺されるのよ!」


( これだけは、渡せない! )

少し逆らっただけで、大切な物を守ろうとしただけで、


( 代わりなんて他にいるんだよ )

いとも簡単に、殺される。