偽者お姫様





どこの国にも、奴隷はいる。
いい様に使われて、必要がなければ、捨てられる。
ただそれだけの、存在。

主が奴隷を助けるなど、ありえない。
なのに彼女は、助けられた。


あぁ、奴隷という存在は同じなのに、
存在する場所が違うだけで、こんなにも奴隷に対する“扱い”が違うなんて――。


( シェリー! )

彼女は、殺されたのに。


「この烙印は、誰にも消すことは出来ません。この烙印から開放されるのは、死ぬときだけです」


同じ奴隷という存在なのに、
“奴隷”の価値のなさを、シンデレラ(彼女)は知らない。

主と笑いあうことなんか、ない。
なのに彼女は笑いあい、むしろ幸せそうにしている。

“主”なんて――私たち奴隷にすれば、いなくなってほしい存在なのに。


「死ぬときだなんて……そんなことないですよ」

彼女は、何も知らない。

「ウィズさんの薬ならきっと――」

同じ奴隷なのに、何も知らない。


その無垢さが、しゃくに障る。