偽者お姫様




「ウィズは奴隷だからといって、扱き使うような者じゃない。むしろ奴隷から開放させる側さ。だから、君はもう“奴隷”を意識しなくていい。自由だ」


シンデレラの表情が少し和らぐ。安堵しているようだ。


「私は一生奴隷です。この烙印がある限り、奴隷という名から開放されることなど、ありません」


リオルの瞳には、一体なんの思いがこめられているのだろうか。
悲しみでも怒りでもなく、むしろ虚無が込められているかのような、そんな眼差しだった。


「そんな……」

シンデレラは心を痛める。

「そうだ、リオルさんもウィズさん特製の薬を使って、その烙印を消しませんか?すぐに消えるわけではないんですが……」


「・・・・・・私、“も”?」


「はい。私も・・・・・・奴隷だったんです。烙印は腰部にありました」


この人も、奴隷“だった”?


「クロード様が助けてくれたんです」


この人が――国王が、主であった、ということ?
なのに、助けられた?

挙句の果てには、烙印まで――。


刹那、リオルの雰囲気がかすかに変わる。
小さく、彼女は鼻で笑った。