先ほどまで晴れて空が、分厚い雲に覆われていく。
ぽつりぽつりと冷たい雨が降り落ち、瞬く間にそれは強さを増した。

立派なお城の門前で、眼帯をしている少女がただ一人、雨のなか無情に立っていた。
警備の二人はもう彼女のことを気にしていない。

髪から滴る雨粒が頬を伝い、幾度となく零れ落ちる。

雨のせいで体温が奪われていく。指先は、すでに冷たい。

あぁ、けれどこんなの全く辛くない。
あの国に比べたら……マシだもの。

そんな事を思っていたとき、ふと門が開く。

「大丈夫ですか?」

それは優しい、柔らかい声。

俯いていた顔を、リオルはゆっくりと上げる。
そして少し、目を見開いた。

ハニーブラウンの髪に、牡丹色の瞳。

髪と瞳の色は違えど、気付いてしまった。


どことなく、自分と彼女は似ている、と。