偽者お姫様



「まだ見つからない。あの餓鬼、どこに逃げやがったんだ」

「だが傷を負っているはずだ。遠くまで逃げるはずがない」

「そうだな。さっさと見つけるぞ」

「ああ」


そう話しながら、二人の男たちはその場から離れていく。

ウィズの口を塞いでいた彼女の手が、離れた。
体はまだ、僅かに震えている。


「リオル?」

声を掛ければ、彼女はハッと我に返る。

「す、すみません。……はやく、街へ行きましょう」

道に出るやいなや、リオルは走り出す。

「ちょ、リオル……!」

いくら呼びかけても、彼女の耳には届いていなかった。


まずい、このままじゃ……僕まで街に入ってしまう―――。