偽者お姫様




「見つかったか?」


少し先の方から、男の声が聞こえた。
その声に、リオルはビクリと体を震わせる。

「リオル?」

どくん、どくん、と彼女の鼓動が速くなっているのが、ウィズにも伝わる。

顔を真っ青にさせながら、少女はなおも震えていた。

「奴、ら……」

そう呟くやいなや、リオルは右側にあった太い木に姿を隠す。

「一体どうし……むっ」

黒猫の口が、塞がれた。


その場に小さくなって、小刻みに震えている。
ぎゅっと、ウィズを抱く腕に力が込められた。