偽者お姫様




別に隠さなくてもいい。

そう言おうとしたが、やめた。


「……そうですね。隠しておきます」

今の主は、彼だ。
前の国のことは、もう関係ない。


左頬にあるその焼印を隠すには、左目を覆わなければいけない。
半分の視界を奪われることは、歩くだけでも不便だった。