偽者お姫様




助かります、と言って、リオルはドアノブに触れる。


「あ、リオル」

引きとめられ、不思議そうに彼女は振り向く。

これを、と渡されたのは、包帯だ。

「それでその焼印を隠すといいよ」

「………隠す?」

どうして? というかのような眼差しで、ウィズを見つめる。

そんなリオルの様子に、ウィズも困ってしまった。


「それで街に行ったら、奴隷の証が丸見えじゃないか。そんなの、嫌だろう?」


ジッ、と彼女は包帯を見つめる。


あぁ、そうか。
ここは、奴隷制度が低いんだった。
焼印なんて、目立つとこにされないんだ。


「でも、私の国では……」

焼印なんて、隠さない。
隠すことを許さない主だっている。

それに、あの国では、そこらじゅうに頬や額、また首などに焼印をされている人がいた。
それが、当たり前だった。

だから奴隷の証が丸見えだろうと、気にしたことは一度もない。