偽者お姫様





「…あの、でも、どうやって街まで行ったらいいんでしょうか」

その言葉でようやく、ウィズは気がついた。

そうだ、リオルはこの国の者じゃない。
市場の場所を知るどころか、街への行き方すら分からない。

「……」

ウィズは頭を悩ませる。

街から外れた丘の上に建つ彼の家から街までは、少しややこしく、言葉などで説明できやしないのだ。


はぁ、と彼はため息を零す。


「街の入り口まで……一緒に行くよ」


――本当は、行きたくないけれど。