その後、俺はどうやって教室まで帰ってきたのか覚えてない。 ただ一つだけはっきりと覚えていることと言えば。 “ごめん” 智香がそれだけ言って、どこかへ行ってしまったことだけ。 …俺も馬鹿だな。 今告ったって撃沈することくらい分かってたのに…。 「…ばか野郎」 手を見つめて、掴んだ手の感触を思い出す。 あーあ。 確かに掴めたのにな。 【完】