いいのか、こんなスケスケ。


「本当――ッ!!!?」


その喜びようは凄いもので。


思わず俺さえも、幸せな気分になりかけた。


「ああ、だけどお前の家……」


飲み込まれまいと頭を一振りし、少しばかり怒ったような顔をすると、


「うんうん、いいよ~、使っていいよ~、皆でいいよ~」


子供は存外に単純だ。


拍子抜けしそうな心境。


試しに聞いてみた。


「お前これ何だか判っているのか?」


月は首を傾げて、何かを考え、


「被るもの~?」


頭にスケスケをかぶった。


「お、おいやめろよッッ!!!」


俺は真っ赤になって月を制する。


それじゃあ変態じゃねえか!!!


「拭くもの~?」


パンツという概念はないらしい。


それならそれでいい。


だからそれは手を拭くものだと教え、ポケットに入れさせた。


こうして賄賂の成果は出て。


月の家で、櫂と芹霞を手当出来る――環境が整った。