「地形変化と、さっきの…魔方陣による力は関連があるということだな?」


俺は念を押した。


「ああ。そうした地形変化が生じる反重力とでも言うべき斥力を電力に変換して組み合わせることで、人為的な"魔法"の使用が可能になったと僕は推測している。地形が垂直に近づけば近付くほど、最大限の重力が得られると同時に、斥力…"魔法"力も強まる」


「まだ学問的に未知な部分が多いのに、こんな僻地で、そんな簡単に人工的に重力を発現させてしまえるなど、よくもまあ学会が野放しに出来るもんだ…」


俺が嗤ってぼやけば、


「計算しつくされた精密なプログラムを見ただけでも、もう神がかりだ。まるで機械が機械を作ったような感じだな。悔しいけど……僕にはまだあの域には行き着けない」


そう顔を顰める玲。


玲でさえ辟易する程の設計者とはいかなる者なのだろう。


「なあ玲。どうして俺達の力が突然使えた?」


「所々、無効化……プロテクトが解除されている場所があるんだ。何故かは判らないけれど。例えば式典があったあの建物、"中間領域(メリス)"とかはね。"混沌(カオス)"や"神格領域(ハリス)"はプロテクトがかかっていたから、煌や桜の武器でさえ顕現出来ない状態だったんだ。そこで"約束の地(カナン)"全域のプロテクトを解除してみたら、案の定力が使えたというわけさ」


「……"中間領域(メリス)"では力は戻ってたのか?」


俺は目を細めた。


「ああ。設計者の家で月長石に相当の電力を蓄えてきたよ」


「だとしたら……おかしくないか?

プロテクトということは、俺達の力を無効化するための相当の電力があるということ。

それが解除されているという"中間領域(メリス)"で、何故お前は電力を手に入れられた?」



「あ……!」



そう……矛盾だ。


その矛盾が罷(まか)り通るというのなら。



「まだ…あるな。考え至っていない、もう1つの外殻が。

まあしかし俺達の力が戻ったというのは心強いことだが」