あひるの仔に天使の羽根を

 

しかも何だ、宙に飛び取る色とりどりの光。


あれは……


「――力?」


1人がこちらに気づき、徐(おもむろ)に手を上げた。


宙に指で何かをなぞれば、黄色の魔方陣のようなものが浮かび上がる。


CGのような見事なまでのその迫力に、


「櫂、風の力を使え!!!」


玲の叫びと同時に、魔方陣は虎のような形をとって、激しく地殻を揺らして俺達に向って襲いかかってきて、


「早く!!!」


「でも、紫堂の力は!!!」


"約束の地(カナン)"に入った時に使えなくなったはずで。


「使えるから!!!」


反射的に前方に伸ばした俺の手。


緑の光が俺の手を螺旋状に取り巻き、威力を増して黄色い虎にぶつかると、呆気なくそれは消えた。


「な、何だ? 幻覚ではない…力に触れた感触があるが…紫堂の者ではないようだが」


そんな俺の疑問に答える暇もなく、今度は水色の魔方陣が宙にあって。


「水には、僕の"雷"に任せろ!!!」


玲のばりばりと音をたてる電気の力が、水色の直線上に向ってくる力を簡単に弾く。


俺達に襲いかかる色取り取りの魔方陣が変幻する力の形態は多種多様で、動物の形を取ることもあれば、そのままエネルギー状のままもある。


俺も玲も、簡単に弾ける力と弾きにくい力があることに気づく。


何だ、俺の力が安定していないのか?