あひるの仔に天使の羽根を

 

酷く……虚しい。



この虚しさが生涯続くというのか。


満たされることがないのか。


「ねえ、櫂。ちょっと気分転換にお散歩しましょう?」


気づけば、部屋には須臾以外誰もいなく。


それが妙に息苦しくて。


孤独。


それは場所を変えても変わらぬ気がして、俺は儚く笑いながら頭を横に振る。


目に入るのは須臾の首元にあるネックレス。


俺がしていた闇石が揺れた。



――バイバイ。



「須臾。俺の石……返してくれないか?」



俺の口から、自然と言葉が漏れた。



「え?」


「2つあっても仕方がないだろう? 1つ俺にくれよ。一緒に持てばいい」


須臾は少し考え込む表情を見せて、首につけているネックレスを外そうとする。


「そっちじゃない。今、お前の手の中にある石だ」



芹霞の石。



須臾は途端、表情を崩して頭を横に振る。


「櫂は、あんな女が気になるの?」


須臾の顔つきが非常に険しい。



「違う。お前は俺のを持てばいい、単純な消去法だ」



芹霞の石が欲しい。



しかし須臾は首を縦には振らず。



芹霞が持っていた石に触れていたい。



そんな――

俺の女々しい願望を見抜かれたのか。