あひるの仔に天使の羽根を



それが――


「俺が惚れた須臾を」


簡単に、心って変わるもんなのかよ。


変わるものなら。


変えられるものなら。


誰が好き好んで、こんな苦しい想いを、必死に堪え忍ぶかっていうんだ!!!



その時、ガチャリとドアが開いて。


「芹霞!!?」


能面のような顔を出した芹霞が、またドアを閉め、また開く。


芹霞の前にあるのは、艶めかしく絡められた櫂と須臾の手で。


芹霞の目はそこから離れることなく。


俺にも玲にも目を向けることなく。


まるで石のように固まって。



「ねえ、櫂……証明しましょう?」



わざとらしく芹霞に見せつけたディープキスに。


芹霞の顔からは色が消え、表情が消え……光が消えた。



「須臾……"永遠"に愛している」



芹霞が信じていた永遠を、他の女に簡単に告げるなんて。


そんな残酷なこと、なんで芹霞の前でするんだよ。