俺は緋狭姉から言われたこと、そしてそれで石の扉を開いたことを語った。
「今、緋狭さんとは連絡とれないの?」
「ああ、どうも俺は遠隔感応っていうのが駄目らしい。こっちからの信号が緋狭姉は受け取っているかも知れねえけど、俺が緋狭姉を掴めない」
もうでっかい溜息しか出てこない。
「……。煌、試してみようか」
玲が立ち竦む俺を見上げ、俺は頷いた。
玲の手の中の月長石を俺の腕環に合わせてみる。
お互い目を閉じ、各々の石の力を解放する。
玲は月長石を。
俺は、腕環に埋め込まれた緋狭姉の紅石を。
芹霞を相手にするよりは、玄人の玲相手はかなり楽だ。
というより俺は完全に玲に引き摺られて、媒介者として誘導されるがまま。
"経験の先輩"である俺の方が、"力駆使の先輩"である玲によって、するすると先導されていた。
きっと、玲という男はそうなんだろう。
どんな難解なことも初見でものにしてしまう。
櫂に通じる…そういう天性のものがあるからこそ、紫堂の元次期当主だったんだろう。
ある意味、こいつは櫂の被害者だ。
櫂のおかげで、こいつの凄さは日の光を見ない。
玲が敵わないと言う、櫂ってどれ程凄い奴よ?
こいつの揺らぎ無い忠誠心がある限り、櫂とっての最大の武器になる。
俺なんかより、よっぽど頼りになる凄い奴だ。
そんな玲と俺の初コラボは結構な時間続いた。

