「益々見るに堪えられないね」



決してあたしを両手に抱くこともなく、


優しい言葉をかけることもなく。



「ありえないくらい不細工な面」



どこまでも淡々とした虚無の顔つきで。


だけど燃えるような瞳の色をして。



「本当に最悪」



延々と流れ落ちる涙だけを、指の腹で拭き続ける。


その――

代わり映えなく続けられる行為が、

紡がれ続ける失礼な言葉が、


まるで"永遠"のように思えてしまって。


思わず笑ってしまった。


久遠に永遠を感じても仕方が無いのに。


櫂はもう居ないというのに。



「……声を出せば?」



何処までも上から目線で。


柔らかさなんて何一つなく。


唯一の表情…"嫌悪"を顔に浮かべて。


「いつもみたいに、馬鹿さらけ出したら?」


何だかそれを温かく感じてしまって。