あひるの仔に天使の羽根を




「せり!!!」



そんなあたしは、突然腕を強く引かれて。



気づけばドアの閉まる音。



「だから言ったのに……」



見上げれば、妖麗な顔。


突き刺すような紅紫色が滲んで見える。



「久遠……?」



――じゃあさ…、どんな記憶をもてば、永遠は"真実"になるの?



「あいつは、君の"永遠"にはなりえない」



低く、そう呟く久遠。


あたしには反駁する力はなく。


例えしても、虚しいことは判っている。



「偽りなんだよ、せりにとっては」



何故だか、その言葉が心の奥に深く突き刺さった。



「……酷い顔」


久遠はそう言いながら、あたしの目を指で拭った。