あひるの仔に天使の羽根を



気づいた時にはもう、あたしは駆けだしていて。


櫂の中にあたしはいない。


今もこれからも、あたしは必要ない。



あたしが、櫂に離れることを望んだからこうなったの?


あたしが櫂を理解出来なくなったのがいけなかったの?



あたしは。


櫂が大切だったから。


理解出来なくなった今を、何とかしたかったから。



――離れていよう?



あたしが奏でた言霊は、

祝詞ではなく禍詞となり、

修復不可能な崩壊だけをもたらした。


後悔してももう遅い。


須臾を恨んでももう遅い。


最悪の事態になる前に、何かの手を打てたはずなのに。

全てを放棄して逃げ出したのはあたしだ。


恨むなら、自分自身だ。


あたしは自らの浅はかさで、櫂を失ったんだ。


あたしから、"永遠"は失われた。


須臾に簡単に奪われるくらい、

あたしが信じていた"永遠"は儚かった。


――せいぜい、永遠掲げてママゴト楽しめば?