「…櫂がどうかしたの?」
少し表情を険しくさせて訊けば、由香ちゃんは笑って誤魔化した。
「いや…いやいやいや。大丈夫。神崎も師匠もが帰ってきたし、大丈夫。うんうんうん。目覚めてから恐くてまだ"2人"に会ってないけれど、多分大丈夫」
「?」
「さあさ神崎、シャワーへどうぞ? ボクは葉山の様子を見に行ってくるから」
それは問答無用でタオルを押し付け、一目散に…まるで逃げ出すように由香ちゃんは部屋から出て行ってしまった。
呆気にとられたように立ち尽くしていたあたしは、
「……洗ってから行けばいいや」
そう独りごちて、部屋の中にあるシャワーを浴びた。

