あたしはいつだって、櫂のお荷物で。


そう思うと居たたまれなくなった。


自分の身が切り刻まれた心地になる。


「櫂、何処!? 何処に居るの!?」


あたしはベッドから飛び起きて、周囲を見渡す。


ログハウスのような簡素な部屋。


この部屋にはあたしと玲くんの2人しかない。


部屋の外に櫂はいるのか。


血相を変えて駆け出そうとしたあたしを、玲くんが腕を掴んで制する。


振り返れば、哀しげな顔で。


だからより一層、櫂の事態が悪化しているのかと青褪める。


「違う…。そういう意味じゃなく…・・・」


どういう意味か判らないあたしは、首を傾げた。


「本当に……参るよね。


君は櫂のことになると衝動的になる……」


「……?」


「相手が僕だったら――


君は取り乱してくれるの?」


鳶色の瞳は、あたしの答えを求めて僅かに細められる。


「玲くん? 当然じゃない」


「―――…。

僕と櫂、2人が倒れていたら、君はどちらに駆け寄ってくれる?」