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目的地に着くまでは、会話らしい会話はなく、重苦しい空気が漂っていた。
それに気づいた芹霞が、無理な笑い作って明るい話題を提供しようとしたけれど、何だかそれが空虚で、見ている方が更に切なくなってきて。
そんな時、先頭のイクミの足が止まり、俺達に振り返る。
「ここだね?」
イクミの言葉を待たずして、玲が静かに断言した。
玲は既に目的地が近づいていたことを感じとっていたらしい。
玲の手の中の月長石は、いつの間にか微かな青光に包まれている。
「凄い……電力だ。此処の何処かに、"約束の地(カナン)"における全電力の管制装置みたいのがあるはずだ。僕のメインコンピュータみたいのね。
これだけあれば、僕の力は有効だ」
紫堂の力が、使えるということか。
刹那の住処は黒い箱のような建物だった。
「これ……あのトゲトゲみたいな材質だよな」
俺はその漆黒の外壁を触った。
ひんやりとする。
漆黒色の中に走る、無数の赤い線。
建物の形状こそ違えど、チビ陽斗とやりあったあの建物の外壁と同じだ。
だとしたらあのトゲトゲは、この建物の主の趣味なのか?
趣味悪い。
イクミは徐(おもむろ)に、その黒い箱のような建物の中央に立った。
よく見れば、イクミが立つ真っ正面の壁に、四角い突起のようなせり上がった部分があって。
イクミはそれを覗き込むようにして顔を近づけた。
ぴろん、という何とも変梃な電子音がした。
更にイクミは、その突起の上方に手のひらを乗せた。
またぴろん、と音がする。
一体、何をやってんだ?
そう俺が目を細めた時、イクミが凛とした声を張り上げた。
目的地に着くまでは、会話らしい会話はなく、重苦しい空気が漂っていた。
それに気づいた芹霞が、無理な笑い作って明るい話題を提供しようとしたけれど、何だかそれが空虚で、見ている方が更に切なくなってきて。
そんな時、先頭のイクミの足が止まり、俺達に振り返る。
「ここだね?」
イクミの言葉を待たずして、玲が静かに断言した。
玲は既に目的地が近づいていたことを感じとっていたらしい。
玲の手の中の月長石は、いつの間にか微かな青光に包まれている。
「凄い……電力だ。此処の何処かに、"約束の地(カナン)"における全電力の管制装置みたいのがあるはずだ。僕のメインコンピュータみたいのね。
これだけあれば、僕の力は有効だ」
紫堂の力が、使えるということか。
刹那の住処は黒い箱のような建物だった。
「これ……あのトゲトゲみたいな材質だよな」
俺はその漆黒の外壁を触った。
ひんやりとする。
漆黒色の中に走る、無数の赤い線。
建物の形状こそ違えど、チビ陽斗とやりあったあの建物の外壁と同じだ。
だとしたらあのトゲトゲは、この建物の主の趣味なのか?
趣味悪い。
イクミは徐(おもむろ)に、その黒い箱のような建物の中央に立った。
よく見れば、イクミが立つ真っ正面の壁に、四角い突起のようなせり上がった部分があって。
イクミはそれを覗き込むようにして顔を近づけた。
ぴろん、という何とも変梃な電子音がした。
更にイクミは、その突起の上方に手のひらを乗せた。
またぴろん、と音がする。
一体、何をやってんだ?
そう俺が目を細めた時、イクミが凛とした声を張り上げた。

