玲なら――
地下からの凶悪な気に気づけるはずだ。
見張りのような黒い神父が無事に立って居たということは、あいつは地下には降りていないとのか?
それとも。
この禍々しい気を耐えて、何かを調べているのか?
禍々しい気――これは瘴気だ。
迂闊に進んであてられたら、やばいもんだぞ?
まだ玲なら、対処出来るだろうからいいけれど。
芹霞は完全に普通人だ。
俺は居ても立っても居られなくて、地下に駆け下りた。
どくどくどく。
俺の勘が告げている。
芹霞は――
この先に居る。
階段を下りるにつれて、辺りは闇色に包まれていく。
ひんやりとした――冷気。
悍しさは膨れあがるばかり。
偃月刀を強く握り直し、慎重に進んでいく。
階段が――途切れた。
道は平坦なものに変わるが、漆黒色に包まれた道の果てが、一体何処に繋がっているのかまるで判らねえ。
「おおい、芹霞居るか!?」
本当ならば、得体の知れねえ空間で声を出すなんて不用心なことはしたくはねえが、芹霞が居るかもしれないのなら、早くあいつを見つけたい一心で。

