あひるの仔に天使の羽根を




「まさか――

此処にいるのか、芹霞」



その時、床に何かが落ちているのが目に入る。



「!!!」




頭――?



長い髪の毛が床に散り拡がっていて。


一瞬、芹霞の頭かと思って心臓が縮み上がったけれど。


芹霞の髪はこんな栗色でもなければ、こんなに長くない。


俺は、偃月刀の先でそれをちょんと突いて、


「これは――」


転がしてみると。


それは、何度も目にしたはずの――



「玲の鬘!!?」



恐る恐る人差し指と親指の2本で、摘み上げてみれば、俺の記憶の中の玲が被っていたものと瓜2つで。


ひとまず、人間の頭じゃねえだけでもほっとした。


俺も結構、びびっているらしい。


しかし玲の鬘だとしたら、何でこんな処に落ちているんだ?


玲も此処に連れられたのか!!?



「玲も無事だよな!!?」



心臓が嫌な予感に波打ってくる。