「いいんですか?私に刃向かえば、取れる選択肢は限られます。
君が彼女と共に生きれる選択。
君が彼女と生き残れない選択。
君だけが生き残れる選択。
君が桜くんのような目にあえば、彼女の生存率は低くなる。彼女の生の可能性を、君は切り捨てるつもりですか?」
俺は飛びかかりたい気持ちをぐっと堪えて、榊をただ睨み付ければ、榊は愉快そうににっこりと笑った。
「賢明な選択です。
それでは、悔いのない旅を」
ぺこりと頭を垂れる榊。
「榊さん…見逃すの?」
「はい。これも慈悲の心です」
「不穏因子を取り込むの?本当に?」
「全ては神のご意志に。
父と子と聖霊との御名において」
「ははは。……成程ね、そういうことか」
2人だけでなされた会話。
俺は最後まで聞かずに、建物の中に駆けた。

