あひるの仔に天使の羽根を

 

笑いながら、チビ陽斗はまた俺に手のひらを向ける。


また、何か仕掛けてくるのか。


風が吹き――


赤い光の魔方陣。



俺が偃月刀を強く握り直した――時。




「はいッ!!! ここまでッ!!!」



――パンッ!!



途端。


空気を破裂させるように、パンと両手を強く叩き合わせたのは、



「お久しぶりですねえ、狂犬くん。

お元気そうで何より。

まあ……正直驚きですけれど」



紫色の神父服を着た、似非笑顔のアーモンド型の瞳をした男が立っていた。



こいつが――桜をやったのか?


「はいはい、そんなに威嚇しないで下さい。

仲裁にきただけですから、ね?」



そう言われて引く俺じゃねえ。



「桜の仇だろうが、お前は」



すると男は――

俺が構えるより前に、無声音のままで突然俺の目の前に現れた。



まるで瞬間移動のように。



そしてにやりと笑った。



「大事な人のこと、放って置いていいんですか?」




「!!!」



芹霞!!!