あひるの仔に天使の羽根を

 


下世話な台詞を透過する、誘惑じみた扇情的な肉体に群がる女達の心も判らなくもない。


ちらりと見る限りにおいては、引き締まった身体に無駄はない。


煌のような筋肉はないし、玲くんのような白さはなく。

櫂のような健康的な逞しさはないものだけれど、魅惑的には十分類するものだと思う。


そんな身体を冷静に観察して、まるでドキドキしないのは、女としてどうかとさえ思う。


だけどあたしの置かれた環境は特殊過ぎて。


誰もが顔を赤らめるようないい男達が周りにいるから。


女を誘う色気を纏った男達がいるから。


悪いけれど、久遠は彼らと同列だ。


むしろ、その地位にまで上げたことを褒めて欲しい。


そんな冷めたあたしの態度が気に障ったのか、久遠の形良い眉毛がつり上がり、そして赤い瞳が細められる。


赤い瞳――?


確かに先刻までは青い……瑠璃色だったのに、今は温室で会った時のような紅紫色になっている。


瞳の色って、ころころ変わるものだったっけ?


そんな疑問を吹き飛ばしたのは、苛々絶頂の久遠の言葉。


「で、用は何!!?」


どうしてそこまであたしを嫌がるのかな。


「あのね、あたし……欲しいの」


「……誘ってんの?」


しまった。目的語を抜かした。


「違う、服が欲しいのよ」


「……。

……オレに買えと?」


ますます細く、赤くなるその瞳。


「違う違う。あんたが相手にしている修道服女の服、貸して欲しいの」


久遠はあたしの真意を探るように、怪訝な顔を向けてきた。