あひるの仔に天使の羽根を



「オレは君が嫌いなんだ!!!」


――ぎりぎり。


「ありがとう、そんなストレートなあんたが好きよ!!!」


――ぎりぎり。


「嫌いだって言ってるだろ!!! 出ていけ、ここはオレの家だ!!!」


――ぎりぎり。


「あたしは客よ!!!」


やがて。

あたしの靴下が血で赤く染まってきたのを見た久遠は、


「――ちっ!!!」


それはそれはとびきりの、最大級の舌打ちを贈呈してくれて、

ドアから突如離れた久遠のおかげで、あたしは部屋に雪崩れ込んだ。


鼻を擦りむきながら俯せ状態で倒れ込み、そしてふと顔を上げれば、


目の前にあるのは大きなベッドで。


ダブルを通り越した、キングサイズとでもいうべきなのか。


予想通りシーツというものは何もなく。


ないのに、ベッドの乱れはよく判る。


情事の名残ある場所にどかりと据わった久遠は、長い腕と足を組んで、本当に不機嫌そうにあたしを見下ろしていて。


まあ当人だから仕方が無いのかもしれないが、どうしてこの男と会うときは、上半身裸に白いシャツの組み合わせなんだろう。

もしや……。


「自己陶酔型(ナルシスト)ではないよ、オレは。

やることやってたから、この格好」


あたしの思考を読み取ったらしい久遠は、やはり冷たいままの眼差しをあたしに向けていて。