あひるの仔に天使の羽根を

 

「オレ、言ったよね。会いたくないって。何でいるの?」


冷たい、冷たいその瞳。


「……帰れ」


低い、無機質なその声音。


それは完全なる拒絶で。


少なくとも。


修羅場においても、お相手女に向けるのはこんな冷たい声ではなかった。


虚無…とも似て非なる、


言うなれば憎しみ。


あたしに。


「酷いなあ、とばっちり受けたんだよ、あたし」


へらへらと笑って見せたが、久遠の態度はやはり軟化せず。



「二度言わすな。

――オレの前から消えろ」



そうしてドアを閉めようとするから、あたしは反射的に片足を差し込んだ。


「……」


それでも構わず、久遠は両腕でドアを閉めようとして、挟まれたあたしの足がぎりぎり痛んで悲鳴を上げた。


舐めるな。


力で抑えられるあたしじゃない。


あたしがムキになって抵抗していると、久遠も段々と苛々してきたようだ。


「……拗い女だな!! 痛いプレイがしたいなら余所を探せ!!」


「プレイって何よ!!! あたしはあんたに用があるのよ!!!」


「オレにはない!!!」


「あたしにはあるの!!!」


それは渾身の力での応酬で。


もうあたしの足は絶叫だ。