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何とか……俺は生きているみたいで。
しばらく噎せ返ったりはしていたけれど、横になっていたら不思議とあんなに重かった身体のだるさまでもが取れつつある。
俺は医師も見捨てるくらいの猛毒に侵され、
壊死寸前の俺の腕を芹霞と桜が旭からくすねた軟膏を塗ったおかげで、
身体に回ってた毒の猛威を玲が分捕った解毒剤を(無理矢理)飲ませてくれたおかげで、やばい状態を忌避出来たことを聞いたのは、少し経った後。
経緯がどうであれ、全員の力で俺は此処にいるんだと思えばじんとくる。
そんな感動の俺を、またあのベッドに寝かしつけようとする芹霞。
「待て待て待て!!!」
俺は芹霞の手を引いた。
「俺は寝たきり状態は過ぎ去ったから、このベッドにだけは寝かさないでくれッ!!!」
本当にもう嫌なんだって、この場所。
しかも皆の見ている中、すやすや寝ていられるかってんだ。
「時間が経てば完全復活するから、話にいれてくれッ!!」
すると芹霞は小さく微笑み、俺の耳元で囁いた。
「良かった。正直煌がいてくれて助かる」
それは安堵のような声音で。
訳が判らない俺としては、芹霞を訝しげに見るしか出来ねえけれど、同時に感じるのは痛いくらいの視線。
櫂だ。
不機嫌そうな顔。
いや、不機嫌通り越して凍てついた表情だ。
俺にか?
芹霞にか?
こいつら、前より酷くなってねえか?
これか、櫂の憔悴の原因は。

