あひるの仔に天使の羽根を



「さ、桜お前だって怪我……」


駄目だ、完全眼が据わっている。


「腐れ蜜柑に同情される程落ちぶれちゃいねえッ!!!

毒物か、解毒剤かなど…

そんなのてめえが今此処で飲み干して証明してみればいいだろう!!?

ほら、口開けろよ、逆らうなッ!!!」


言うなれば。


俺のへろへろ身体は、桜のがたがた身体には敵わず。


しかも。


櫂も遠坂も、哀れんだ目を寄越すばかりで桜を止めず。


遠坂なんて、合掌して念仏を唱え始め。


俺はそんな身の危険に暴れていて。


「抵抗すんなッ!!!」


鬼神桜の手には、口を開けた小瓶。


斜めになる怪しげな緑の境界線。


本能が警鐘を鳴らし、身体が拒絶する。


「大丈夫だから」


気づけば、苦笑交じりの櫂が俺を押し倒し、暴れる両腕を押さえ込んでいて。


「……多分……?」


おい、櫂。


何で疑問系なんだよ!!!


「死なないから」


遠坂の声。


知らぬ間に遠坂が俺の両足に座り込んでこっちを見ていて、


「……多分……?」


同じように疑問系を使った。


四肢を封じられた俺は、固く口唇を閉じ、


そして桜は頬を掴んだ片手の指に思い切り力を入れ、俺の口をタコチュウ状態にさせて、小瓶を傾けた。


「やめろ~~ッッッ!!!」


俺は必死で。



そんな時。


「んん。煌……目覚めたの?」