あひるの仔に天使の羽根を

 


「――!!!」



何か――


あったのか!?


俺は必死に立ち上がる。



頭が――ぐらぐら揺れる。


視界がぶれる。



それでも、芹霞を護らねば。


俺の芹霞を。



その時だった。




「――如月!!!」



紅白の巫女服姿の遠坂由香が、ドアを開けて飛び込んできたのは。



「……何だか、あからさまに不服そうな顔だね。本当に如月も!!! どうして神崎と神崎以外に接する態度が違うんだろうね、ボクむくれちゃうよ、ぷんぷんッ!!!」


遠坂は口を尖らせて腕を組むと、横を向いてしまった。


怒ってるのか拗ねているのか。


しかし、漏れた声は"むふふふふ"。


「あんまボクを虐めると、姉御の呪文発動しちゃうからね?」


向けられた眼差しは、完全三日月型。


吐かれた言葉は、恐ろしい呪詛。


俺はぶるりと震えて、そのままベッドに倒れ込んだ。


不覚ながらも、遠坂の呪詛に力奪われたんだ。


「やめてくれ~ッッッ!!!!」


緋狭姉。


なんちゅーもんを遠坂に教えているんだよ。


分身作るなよ!!?