あひるの仔に天使の羽根を

 
そうだと肯定されたらどうしようかと内心びくびくしていたけど、

俺が思っていたよりは嫌われていなかったらしい。


それだけ判れば十分だ。


桜にも敵わない俺が、桜をやった奴を何とかできる筈はないだろうけど、

気持ち的にはどうにかしたい憤りがある。


何とか敵討ちしたいけど、その俺は、闘い慣れてねえ女にやられて動けないし。


しかも途中から、俺の記憶がぶっ飛んでる。


危険な状況で、惚れた女隣にして、意識飛ばすなんてありえねえ。


助けにいった俺が、助けられるとは何たる様よ?


「……はあ」


溜息しか出てこねえ。



芹霞、大丈夫だったのかな。


怪我とかしなかったのかな。



早く会って、無事を確かめてえのに、芹霞はまだ来ない。



早く連れてきてくれよ、桜。


早く顔見せろよ、芹霞。


俺は水より、お前がいい。


俺は水より、お前で潤いたい。



だけど――

帰ってくる気配はなく。



俺は更に苛々してきた。


この部屋、フリフリ多すぎんだよ。


凄く目障りなんだよ、フリフリ。


何で俺がこんな甘々色のフリフリなんだよ。



俺、フリフリなんていうものは――


――白いフリフリなのにッ!!!


結構好きかも……。



ぼんっ。



……熱、上がってきちまった。