「解放とは?」


「何かの契約に囚われているそうなので」


――誓約も所詮…その程度のものか。


俺は突如浮かんだ、あの刺客の女の言葉を打ち消した。


「それについて、そしてその解決法が、"聖痕(スティグマ)の巫子"の背中に現れるそうです」


「どうすれば現れるものなんですか?」


「判りません。方法は知らされていません。ですが1つだけ、禁じられていることがあります」


俺は目を細めた。


「恋をしてはいけないこと」


俯く須臾に、俺の目はますます細くなる。


「恋をしたら、聖痕の秘密が外部に漏洩するからと」


推測出来るのは――


男女の交わりか。


聖痕が自然発生するものならば、そんな奇妙な禁じ方はするまい。


何とも、確信的で断定的な禁じ方が気になるが。


昔から奇跡を起こす少女は聖らかなる処女が多いから、男女の交わりを禁止するということは理解出来る。


だけど――


「今は無理ですけれど、5日後の正式な儀式を経れば、私の身体にも現れると思います。代々"生き神様"に仕えた巫子がそうであったと聞きますので」


聖痕が男女の交わりによって出来る危険性があるのなら、

聖痕を作ることが勤めの巫子の存在意義は何だ?


何故儀式を経た正式巫子が聖痕を成し得る?


そして――