「幼馴染だよ」


嘘は言っていない。


だけど僕の声は震えた。


「どんな?」


一気に穏やかな空気が変わりゆく。


僕は無性に苛ついた。


「やはり――

特別なんですか?」


ふつふつと、怒りが込み上げてきた。


衝動が止まらない。



何だ――この女。


何が"やはり"だ。


知ったような口を聞くな。


僕の無言を肯定と捉えたようだ。


「そう――ですよね、

綺麗な方ですもの。

お似合いですよね……」


「!!!」


まだ両思いだって確定したわけじゃないだろ!?


芹霞と釣り合う男がどうして櫂だけなんだよ!?



僕だって。


僕だって!!!