俺はどうも――

気の利いた台詞を言えねえ性質だ。


ヘタレなのか、口下手なのかよく判らねえ。


それでも芹霞に告る時は、精一杯想いを伝えたいんだ。


遠目に見る壇上で、初めて目にする女がしどろもどろに喋っている。


はにかんだように俯いていた顔を上げると、ふとこっちに顔を向けたまま動きを止めた。


ああ――

櫂に惚れたな。


まあ、いつものことだ。


特になんにも思うことはねえ。


そんな日常茶飯事の情景をぼんやりと見ながら、俺は思っていた。


これが芹霞で――

恥じらったようにこんな紅潮した顔で見つめられたら、俺は絶対自制がきかねえな、なんて。


今の俺にどれくらいの理性、残っているんだろ。

最近、発情……しっぱなしだから。

止まらねえんだ。

ヘタレのくせに、身分不相応のくせに。

判っているから、今そこを攻められたら大打撃だ。


そう思った時、


――煌ッ!!! あんたも何鼻の下のばして、デレデレしてッ!!!


やばい。


芹霞に感付かれたか?


焦る俺は、思い切り足まで踏まれる。


その後、訳のわからねえ、芹霞がもっとも嫌いそうなチャラ男が出てきた。


頼むから、俺が告る前に芹霞の機嫌を悪くさせるなよ?


俺の思考回路は、告ることで一杯だ。