女子棟に入り、あたし達は部屋に行き着いた。


ドアを開けて、中に足を踏み入れて壁の電気のスイッチを押した時、


――ドガッ!!


聞き慣れた……鈍い音。


一応後ろを振り返れば――

桜ちゃんが煌の背中を膝蹴りをしていた。


「~ッてえなッ!!! 何すんだよッ!!!」


「何のために棟分けされてんのか、もう忘れたのか!!?

何で芹霞さんと一緒に中に入るんだ、

この色ボケがッ!!!」


ルールという命令に忠実な桜ちゃん。


うーん、やっぱりこの2人は仲がいいなあ。


桜ちゃんは年下だけれど、絶対煌より年上に見える。


友達ってやっぱりいいよな、理解しあっていて。


あたしは、煌の襟首掴んで部屋の外に引き摺りだした桜ちゃんに少し待ってて貰い、洗面所に行った。


鏡の中のあたしの化粧は、然程崩れてはいなかった。


所詮は皆を驚かせようとした為だけに施した化粧だから、用が無くなればちゃっちゃと落して、健全なる女子高生に戻ろう。


そう思って蛇口を捻った


――時、だった。



ぞくりとする、何かの視線を背後に感じたのは。



恐る恐る……顔を上げて

見た鏡の中には――





「警告だといったはずだ」



長い金髪、金色の瞳。


白い修道服を着た――

陽斗に相似した女が立っていた。