「!!!

~~ッッッ!!!!」


それが魔法の言葉のように煌に直撃(クリーンヒット)したらしい。


想像以上の大打撃(ダメージ)に、煌は両膝を床について脱力したまま項垂れた。


「姉御の呪文、すごい威力だわ……」


由香ちゃんが独りごちた。


緋狭姉は、あたしの知らぬ間に由香ちゃんと仲良しになっていたみたいで。


何処かで緋狭姉の、高笑いが聞こえてくるようだ。


「…由香ちゃん、それ緋狭さんから?」


玲くんが、恐る恐るといった感じで由香ちゃんに訊けば、


「うん。もしも駄々こねて手に余るようならと、呪文を少しばかり。あ、皆の分もあるよ? ええと、師匠はね……」


「ええ!? 僕のもあるの!!?

い、いらない。

緋狭さんの呪文、僕いらないッ!!!」


珍しく玲くんが蒼白な顔で身震いした。


「そう? じゃあ紫堂のは……うわッ、何そこまで遠のくんだよ。

じゃあ葉山のは……、あれ、葉山!?」


桜ちゃんに矛先が向けられる前に、あたしは桜ちゃんに腕を引かれて部屋に向かっていた。項垂れたまま、煌もついてくる。


そこまで気落ちしていても、それでも一緒についてきたいらしい。


何だか拗ねた小さい子供のようで、あたしはくすりと笑ってしまった。