「あ!?」


それに対して、焦ったように反対したのは煌で。


「てめえには任せられない」


身長差はあるけれど、真っ向から対峙する迫力はどちらも負けておらず。


「じゃあ、2人で行っちゃえばーッ?」


由香ちゃんの一声で、それが最良の方法かも知れないと、あたしも賛成した。


たかが2人で話すことだけでこんなにも場の空気が悪くなってしまうのなら、もう1人挟めばいい。


「ああ、それがいいよ、煌、

桜と行っておいで?

ちゃんと芹霞を護るんだよ、桜と」


玲くんもにっこり微笑むし、


「玲が居るから、俺は気にするな。

うちの護衛団の強さを芹霞に見せてみろ、桜と」


櫂だって愉快そうに笑っているし。


何だか2人とも、妙に桜ちゃんの名前を強調している気はするけれど。


由香ちゃんの提案が気に食わなかったのは煌だけだったみたいで。


真っ赤な顔であーだかうーだか唸りながら、最後には何とも翳りが出来た悲壮な顔をあたしに向けて、何かを訴えてくる。


何をそんなに焦っているのだろう。


話などいつでも出来る。


最悪、家に帰っても出来るじゃないか。


家に帰れば、どうせ2人きりになるんだろうし。


しかし何故か1人抗う煌に止めを刺したのは、


「ウザい、ヘタレな発情犬が飼い主に噛付くな。身の程知らず」


ぼそっと呟かれた由香ちゃんの言葉。