場違いなのはあたしだけじゃない。


彼も一緒で――

嬉しくなった。



そんな時、


多分――目が合った。



ほんの一瞬。


しかも顔すらよく見えない遠目だし

確証があるわけではないけれど。


だけど、目が合ったと思う。


直感、に近いものかもしれない。



彼の目が――


冷めていると、


感じてしまった。



こんな乱痴気騒ぎを起こして、

こんなに皆から嫌悪の念を向けられても、

無敵に振る舞う泥酔状態にあるはずの目が、

あたしと目があったと思われるその瞬間だけがらりと表情を変え、

酷く――冷ややかだった。


笑いを止めたその刹那だけ、

空気が変わったんだ。



誰に対して?


あたしに?


まさか。


じゃあ見間違い?



それが凄くひっかかって。




その後ばたばたと色々な人が出てきたけれど、笑い続ける彼が引きずり出されるようにして場から消えても尚、その眼差しの残像は焼きついて。



そんな時、爆発音が鳴り響いた。



帰れない。



櫂が物騒なことを言い放ち、いつものように不敵に構えたけれど、

そんな時でもまだ、脳裏に残るのはあの眼差しで。



あたしは、彼と話してみたいと思ったんだ。